★8話目【心配】






「うぉっと…」

「!」


ぼふっと大きな音を立てて俺の腕の中に倒れこむ梨華。それはもう、凄い勢いでコケた。足元には何も無いのにどうしてこうも大げさコケることが出来るのか。



「ごめん、ごめん」

「ったく…。ちょっとは自覚しろよ」



ふと、目を向けたのは
梨華……の腹。



そう。
梨華の体はもう1人の体じゃない。




「だってー…」

「言い訳すんな。」

「…はい。」



しゅん、となる梨華を見て大きく溜息を吐くと、しっかりと手を握り(こうしていないと心配で仕方ねぇから)目的地へと向う。



「ねぇ、男の子かな?女の子かな?」


嬉しそうにお腹を撫でるその顔に俺は目を奪われる。