手を伸ばせば直ぐに届く距離。触れようと思えば直ぐに触れられる距離。そこに裕二はいた。
「…まあ、初夜とか気にしてねぇけど。ここで、ってのもありじゃね?」
ニヤっと口元を吊り上げ、
何かをたくらむその笑顔。
お風呂に入っていて暖かいはずなのに、私の体には一気に鳥肌がたった。
「全然ナシ!有り得ない!考えられない!」
思いっきり拒絶。
そりゃあ、そうでしょ!
お風呂とか…ナシ!!
「…。」
あまりにも大きな声で拒絶するものだから、お風呂場に私の声が木霊した。
「ゆ、ゆう?」
「…あっそ。」
裕二ははぁーっと大きく溜息を落とすと私の頭を一回優しく撫でて、お風呂から上がって出て行ってしまった。
え、え?
な、なんで怒るの!?
一瞬にして一気に増した水嵩が、裕二が上がったことにより一気に減少した。
「…ゆう、じ」
小さく名前を呼んだ時には
もう裕二の姿はなかった。

