…さかのぼること 半年前。


塾で県で行う模試があった。
クラス関係なく適当に
席が用意されるため
私の知ってる人は
同じ部屋にはいなかった。

暇だったから部屋にいる人を
観察していると、
斜め右後ろからすごい
視線を感じた。


視線の感じる方を見てみると
他中の男子が席に座っていた。


(あ、なんかかっこいいかも。)

ふとそんなことを
思ってしまった。



模試が始まった。
国語のテストだった。

私は比較的国語ができる方
だったから
すらすらと問題を解き
最後の難関である、
作文に差し掛かった。


作文のお題は、「嘘について」


問題なく私は全力を尽くして
作文を書き上げた。

そして、回答用紙を回収しに
塾の先生が部屋に来ると
いきなり先生は笑いだした。

「おい、後藤!
作文 僕 しか書いてねえ
じゃねえか。
なんだよ、これ。」

先生が他の生徒にも見せて
みんなで爆笑している。



でも、私には後藤が誰か
わからない。

すると、
「いや、時間なくて…」
と弁解する声が聞こえた。


声のする方を見ると
さっきの視線向けてきていた
かっこいい男子だった。


(え、この人馬鹿なの!?)


作文に 僕 の一文字しか
書かなかった人なんて
見たことがなかったから
すごく印象に残っている。