何故か無性に胸が締め付けられるように苦しくなった。

そんな衝動に駆られ静かに細く襖を明け外の様子を窺った。
すると。

『・・朱璃』

先ほど私を起こした声とは全く正反対の低く、儚げな今にも消え入りそうな

そんな弱弱しい声で・・・

私の名前を呼ばないで・・

段々と意識が朦朧としてきた。

私はこれが最後だという事を悟り、必死に声の主を探す。

最後だから・・・。

最後に、彼の、熾鬼の姿を探したがどこにも姿はなかった。

最後の記憶は、
視界いっぱいに広がったのは秋の紅葉だけで・・・・