それどころか、何故自分がここにいるのかどうかもわからない。

「うっ・・」

増す頭の痛みに耐えながら立ち上がると視界がはっきりとしてきた。

「わ・・しつ・・?」


広い和室には畳が敷かれており、この部屋を照らす唯一の光、畳の上に置かれた提灯らしきもの。
妙な閉塞感に襲われそうになる襖がある。

「っ・・」

ジンジンと広がっていく痛みに呻き声をあげる。

私の声と重なるようにして微かに妖しげな声が鼓膜をたたいた。

その声は、襖の向こうから聞こえてきているようで、理由はないが息を潜めて襖に身を委ね静かに沈黙を招く。

だが、聞こえてくるのは哀しげな吐息だけで。