私は幼い頃、“神隠し”にあった事がある。


―――らしい・・・。


その時の記憶と言えば・・・

意識を深い深いところへと、沈めていく。

そんなとき、

『起きて』

静かに響くように聞こえてきた、大人しい、だけどどこか凛とした声は私の意識を現実へと連れ戻した。

言われるがままに上体を起こすと、違和感が漂う部屋の雰囲気に酔いそうになる。

少し痛む頭を押さえ辺りを見回すがぼやけた視界のせいか、ここが何処だか識別できない。