「私はあの人たちと断固戦うわ。一人じゃ、難しいけど、私には吉岡君という同志がいるしね。二人で力をあわせれば、いじめに勝利出来るわよ」

 「僕と今野さんは同志か」
 「そうよ。同志よ。今、同志は二人だけだけど、同じ志を持つ者を増やし、クラスからいじめを追放するの。どう、やり甲斐がある戦いだとは思わない」

 「クラスからいじめが無くなるなんて、夢みたいだね。それなら、僕も協力するよ。そして、今野さん同様、僕も戦うよ」

 「じゃ、決まりね。余り長く二人でいると目に付くから、吉岡君はそろそろ退散してくれる。私はもう少し海を見ているから」

 「わかった。じゃ、僕は帰るよ。また、明日ね」
 「バイバーイ」

 「今野さん、さようなら」


 海からの風が雫の顔を優しく撫でた。

 プーンと潮の香りがした。

 海岸では、小さな子供が海に向かって石を投げている。

 その時、一匹の魚が勢いよくジャンプし、ポチャンと海に落ちた。


 雫は日が暮れるまで海を見ていた。