「そんな事があったの。大変ね」
 「就職見つかりそう」
 
 雫が心配して尋ねた。


 「いろいろと探してはいるんだけど」
 「なかなかいい所はね」
 「将来を考えると、お先真っ暗だよ」
 「そちらの方はどう?」


 「こちらも相変わらずよ」
 「いろいろ話を聞いて欲しかったけど」
 「ちょっとね」
 「苦労しているの、私だけじゃないのよね」

 「遠慮しなくていいのに」

 「就職先が決まったら、また相談するわね」

 「優しいんだね。ひとつ質問してもいい」 
 「どうぞ」



 「女狐さんって恋人いるの」



 信彦が話題を変えた。