信彦は御堂筋に出ると、地下鉄で帰るか一瞬迷ったが、梅田方面に向かって歩き始めた。
花束に行き交う人の視線が集まる。
少し恥ずかしい。
信彦は歩く速度を速めた。
気が付くと、淀屋橋まで来ていた。
信彦は橋の中央まで歩くと、そこで立ち止まった。そして、花束を土佐堀川に投げ捨てた。
花束が黒くよどんだ川に向かって落下してゆく。
信彦はこの花束を家に持ち帰り、飾る気持ちには到底なれなかった。
自分の帰りを今か今かと待っている妻の顔が浮かんだが、このまま帰るつもりはなかった。
「許してくれ。今日は飲ませてほしい」
信彦は独り言を呟くと、北の新地にある行きつけの店に向かった。
『かの川』は、信彦の馴染みの店である。
料理自慢の女将が、酒に合うちょっとした肴を出してくれる。
それが、信彦の口には合っており、実に美味しい。
料理に釣られて、足繁く通っている店だった。
花束に行き交う人の視線が集まる。
少し恥ずかしい。
信彦は歩く速度を速めた。
気が付くと、淀屋橋まで来ていた。
信彦は橋の中央まで歩くと、そこで立ち止まった。そして、花束を土佐堀川に投げ捨てた。
花束が黒くよどんだ川に向かって落下してゆく。
信彦はこの花束を家に持ち帰り、飾る気持ちには到底なれなかった。
自分の帰りを今か今かと待っている妻の顔が浮かんだが、このまま帰るつもりはなかった。
「許してくれ。今日は飲ませてほしい」
信彦は独り言を呟くと、北の新地にある行きつけの店に向かった。
『かの川』は、信彦の馴染みの店である。
料理自慢の女将が、酒に合うちょっとした肴を出してくれる。
それが、信彦の口には合っており、実に美味しい。
料理に釣られて、足繁く通っている店だった。

