としサバ

 「あの時、もっと今野さんたちの事を考えて上げれば良かった。そこまで思い詰めているとは知らなかったのです。本当に許してください」


 二人はしばらくのまま、土下座したままだった。

 「どうか、頭を上げてください」

 緑は二人の姿を見て、もう非難する気は失せていた。

 「幸い怪我ひとつ無かったですから」

 緑が言葉を続けた。


 「良かった。本当に良かった。命が助かったと言う知らせを聞くまでは、生きた心地がしなかったですよ」


 教頭先生が口を開いた。