最初、雫は屋上から飛び降りるつもりでいた。

 保の願いを聞き入れて場所の変更に迫られた時、雫はここから見る光景を思い描いていた。


 雫は振り返った。

 皆は忙しそうに清掃していて、こちらを気にしていなかった。



 「今だ」



 雫は窓枠に乗り上げると、後ろ向きになって左足から庇に降りて行った。


 庇に着いて、雫は向きを変えた。



 目の前に、運動場が大迫力で広がっていた。