「これだ。やったー」



 それは、障害物競走に用いる太いロープで作られた網だった。

 保は力をいっぱい込めて、網を引っ張り出した。
 用具類の上に、それを出来る範囲で広げて見る。


 「大きさといい、強さといい、OKだ」


 「この下にマットを引けば、万が一の事があっても大丈夫だ」

 「ああ、神様、感謝します」


 独り言を言いながら、保は神様に感謝を捧げた。


 保は網とマットを出来るだけ手前まで引っ張って来て、すぐに出せるようにした。

 「よし、これで完璧だ」


 「今野さんの命は僕が守って上げるからね」


 保は雫の笑顔を思い出し、幸せな気分になっていた。