「あんたに病気うつされたら、死ぬわ。あんたは厄病神、いや死神や」

 

 リンが死神という言葉に力を込めた。

 
 「そや、そや。あんたは死神や」

 
 葵とみちるが口を揃えて言った。


 葵は包帯を取り出した。

 その包帯は、2時間目の休み時間に、医務室で貰った物である。


 みちるとリンが、雫の腕をそれぞれに鷲づかみにした。

 葵が雫の顔に、ぐるぐると包帯を巻き出した。


 「あんたの顔はばい菌だらけや。そやからうちが、顔中を包帯でぐるぐるに巻いたるわ。マスクの上もな。きっと、よく似合うで」


 「何をするの。やめて」

 
 雫が顔を左右に動かせて、イヤイヤをした。


 その時、吉岡保が包帯を巻いている葵の手を掴んだ。