「これ、私の遺書よ。吉岡君、見てみる」
「やっぱり、死ぬの」
 
 保が不安顔で言った。

 「死ぬつもりだったけど、吉岡君と約束したから死なないよ。でも、これは、抗議文だから、飛び降りる前に、残すつもりよ」

 「僕は到底、。読めそうにないよ。だから、いいよ」

 「なら、無理にとは言わないよ」
 「それで、いつ実行するの」

 「まだ、調べたい事があるから、それが終わってからよ。決まったら連絡するね」

 「わかった。僕も下で今野さんを受け止めるのは、何が一番、安全か調べておくよ。でも、絶対死んじゃいやだよ。今野さんが死んだら、僕も死ぬからね」

 「わかったよ。マトに命中するよう、良く狙いを定めてうまく飛び降りて見せるから。無事に生還したら、吉岡君、ここで海を見ながらデイトをしようよ」

 「やったあ」


 無きべそをかいていた保が、急に元気な顔になった。



 「今野さんが死んだら、僕も死ぬからね」



 雫は保が言った言葉を思い出すと、なぜか胸がキュンとなった。


 先ほどのウインドサーフィンが、海の遠くの方にゆらゆらと揺れていた。