沙穂が女の感で、女が出来たと疑っている。


 昨日ひと晩空けただけなのに。

 なぜ料理ぐらいで、何度も電話しなければならないのか。


 株といい、今回の件といい、物事が裏目、裏目に出る。


 自分のツキの悪さに、信彦は苛立っていた。


 金曜日の夜10時30分頃、女将から電話があった。


 「今日は、早仕舞いできそうなの。今から逢えない」


 「じゃ、11時頃、そちらに行くよ」


 信彦は急いでかの川まで行った。