口演奏に合わせて、新婦は父親らしき人と、左腕を組んでバージンロードをゆっくり一歩ずつ、黒板に向かって進んで行った。


 新婦役はみちるだ。


 白いドレス、白い靴。
 頭には、白いベールらしき物を被っている。


 雫は花嫁役がなぜみちるなのか、不思議に思った。
 
 葵のブログの情報では、花嫁役は葵になっていたからである。


 父親役は、男子生徒4人組のひとりである山川君が演じていた。

 山川君は紺色のスーツを着用し、頭にはお祖母さんから借りて来たのか、白髪のカツラを部分的に付けていた。

 二人はバージンロードを神妙な顔付きでゆっくりと歩いている。


 雫は二人の顔をまじまじと見て、普段とは余りにも違うので、思わず下を向いてくすっと笑った。

 
 父親役と新婦の二人は、黒板の前に着いた。


 父親役の山川君は、新婦を新郎役の石田君に渡した。