「ぼ、僕か」
 「僕の服装なんかどうでもいいだろう」


 「自分から聞いておいて」
 「キリマンは勝手な人ね」
 「大嫌い」


 「ご免 ご免」
 「僕が悪かった」
 「謝るよ」


 「知らない」
 「もう 帰るわ」


 「待てよ」


 「バーイ」


 「待てったら」


 「・・・」


 「謝るから」
 「機嫌を直してくれよ」


 「・・・」

 「頼むよ」

 「・・・」


 信彦は、また雫を怒らしてしまった。


 ジャガーの耳を付け、ジャガーのしっぽを振る、小学6年生のあどけない女の子に、なぜこだわったのか。

 信彦は、自分自身でも良くわからなかった。