恋愛短編

放課後

帰りの支度をしようと、机に手を入れた。



「あ……」



忘れかけていた手触りに声を漏らす。




「ん?なに、どうした?」



神崎くんが本を開きながら、顔をこっちに向ける。



「あっ、ううん、ちょっとお母さんに言われた用事を思い出しただけ」



もちろん嘘…


再び本に意識を戻す神崎くんを確認し、革の手触りを感じたままそっと机から手を引き抜く。



生徒手帳…
本当に、いいかげん返さないと。



話すら出来なかった頃の私なら、これだけの事が凄くハードル高かった。


だけど、今なら笑って話せる。



「神崎く」


「誠ぉー!今日あんたうちくるー?」



遮ったのは、彼を呼ぶいつもの明るい声。