恋愛短編




「次は緑の森も貸してくれる?」




それも覚えててくれたんだ…。首を上下に振る。




「……その、映画もう見た?」



私は首を横に振る。



「それなら……−−−」




そこまで言葉を聞き取れたと思ったら、パァン!と何かが弾けた音で遮られた。




「本を読め!本を。白石も付き合わなくていいんだからな」




先生が手に持っている出席簿で神崎くんを殴った音だった。



いつも朝は女の担任の先生なのだけど、今日は運悪く生活指導の男の先生だ。



神崎くんは、あまりの痛さに声が出ないのか、手で頭を押さえぷるぷる震えている。




昨日の、教科書の角も痛そうだったけど、今のとは音が違う。





「大丈夫……?」


「よ、ヨユー」




そうには見えないけど。