恋愛短編

朝のホームルームと1時間目が始まる前は読書をする時間と決められている。



その間、先生は歩きながら皆の様子を見ているだけ。



この朝の15分間が好き。



教室中に本をめくる音が、響く。





「白石、しらーいし」



「?」




ヒソヒソと呼ぶ声に、首を回す。



神崎くんは本を指差して、



「これ、いいな、かなり面白いかも」



「!」



声を出すと先生に気付かれるので、何度も首を縦に降って気持ちを伝える。


私が作者じゃないのに。




こんなに嬉しいのは、神崎くんが相手だからだ。