恋愛短編



その日の授業も全て終って放課後。




「誠ー、今日ねー、駅前のファミレスで学生は半額になるんだって。行こうよ。和幸と藍は行くってさー。」



チャイムと同時に川口さんが神崎くんに声をかけた。



いいな、それ。

誘う勇気はないくせに、羨む気持ちはしっかりもってるとか………、どうなの?


はぁ、とため息を吐く。




「マージで?……ん?それってもしかして生徒手帳見せなきゃダメだったりする?」



「うん。生徒手帳提示?見たいな事書いてるよ。ほら、これ。」





川口さんがカラーに印刷された小さなチラシを指差す。




生徒手帳持……。
持ってるの、私。




心臓がドキドキ騒ぐ。


当然返すべきなんだと思う。
それは、ちゃんと分かってる。




でも……。


隣の席をチラっと見る。



神崎くんと、川口さん。




生徒手帳を渡したら、一緒に行くんだろうなぁ……。