「お母さんのシチュー美味しいよ」
「そうでしょう? 穂香も高校生なんだから、はやくシチューくらい作れるようになりなさい」
「はーい」
二人の会話はそこで終わる。意味のないトーク番組がワイワイと騒いでた。
お母さんは難しい顔をしてシチューを口に運んだ。
堕胎のせいで智香は、自分のレベルより低い高校に入学した。内申点が足らなかったんだ。
不良がいっぱいいる学校で、智香はすぐに流された。
髪の毛が金髪になって、似合わない濃いお化粧をして出かけて行く。知らない男の人の車に乗る智香を何回か見たことがある。
声をかけても、無視されるだけだった。


