────「穂香!」



「隼斗、ごめんね。呼び出したりして」



 隼斗は白いポロシャツにジーンズと、いつもと変わらない服装で現れた。



「何を今更遠慮することがあるんだ?」


「あはは、そうだね。ごめん」


「たまには、どこか行くか?」


「うん、涼しいとこがいいな」


 隼斗は「そうだな、とりあえず歩こうか」と言って、私の手を握る。


「隼斗、私汗臭いかも……」


「気にならないよ。穂香一人が汗臭くても、いつも部室は百倍臭いから、嗅覚が麻痺してんだよ」