「そういえば穂香に、ナツの予定きいとけって頼まれてんだけど、練習以外暇なんだよな?」


「暇じゃない。そういえば、兄貴たちとキャンプ行く約束した」


 兄貴には、葵さんという婚約者がいる。


「僚也さんと葵さんと?」


「うん」


「絶対やめとけって……」


「だよな……兄貴、俺のこと奴隷みたいにこき使う気でいるんだ。絶対」


「違う! おまえ、邪魔なんだよ! 葵さんが気使って誘ってくれただけだ。兄貴とその彼女と同じテントで寝るつもりかよ!」



 隼斗は、大袈裟に頭を振るとまたため息ついた。ため息つきすぎだ。



「なんで、葵さんが気使ってるって隼斗はわかるんだ?」


「なんでわからないのか、俺にはわからない」