「誰か、開けてっ!」


 堅い鉄のドアを叩く。どうしてこの倉庫、窓もないんだろう。灰色のブロックの壁にむき出しの蛍光灯。


 明日まで誰にも気がつかれなかったらどうしよう?


「誰か! お願い! 私、ここにいるよ! あけて! あけて!」


 やだやだやだぁ。怖くなってきた。



「あけて! 誰か! 鍵がしまってるの!」


 ドンドンドンっ!  パニックで連打してドアを叩いた。両手がじんじんと痛む。ドンドンドンっ!



「誰かいませんか? 開けて下さい!」






「穂香、ちょっと待ってろよ……」



 この声……



 ガチャンと鍵が開く。



「なに閉じ込められてんだよ。どんくさい
な、穂香は」


「ナツくん……掃除当番で片付けしてたら、間違えて閉じ込められちゃっただけだよ……」


 よかった。ナツくんが気がついてくれた……ナツくんが……


「泣くな、ばーか」


 安心したら、泣きたくなった。

 うわん、と声をあげるとナツくんは優しく頭を撫でてくれる。