なんで……よりによってナツくんなんだろう……?


「穂香、ナツくんと幼なじみだよね? 応援してくれるって言ったよね?」


「う……うん! 頑張ってね!」


「その言葉、信じてる」



 膝ががくがく震えた。自分が壊れそうで怖かった。私は美咲の信頼に答えられるのかわからなかった。この時はじめてナツくんが好きだったと気がついて、そしてその恋は一瞬で砕け散った。



────その日は、体育館の掃除当番だったので掃除用具を倉庫に片付けていた。


 体育館のモップって大きくて片すのも一苦労だ。それを一人で運んで、ほっと一息ついた。



 ガチャン。



「え?」


 なんか……今鍵のかかる音がしたような?


 倉庫のドアを押す。


「開かない……」


 信じられない! 私、まだいるのに鍵かけられたの?


 扉の向こう側から何人かクスクス笑う声が聞こえた。


「幼なじみだからって調子のってるんじゃねーよ、ブス」と確かに聞こえた。