「あちっ!」

 たこ焼きを頬張ると、いつも中が熱くて後悔する。ちょっとずつ食べればいいんだろうけど、食欲そそるソースと鰹節の香りと、ちょうどいいサイズだから、ついつい口に入れちまう。
 
 中からドロッと熱いものが出てきて後悔するんだ。


「ナツ、これで貸し借りなしだからな」


 隼斗が小声で耳打ちしてきた。


「穂香の送り賃のこと? 雨の中、穂香をチャリ乗せて送ったお礼がこのたこ焼きなら、別に俺毎日でも送迎してやるよ。な? 穂香」


 もう一個たこ焼きを食べる。今日は何も食べてないから、これじゃ足らない。



 ガツ! とスネに蹴りがはいる。 


「痛ぇよ! 隼斗!」

「何すんだよ!」


「ったりまえだろ! なんでおまえが毎日穂香を送迎すんだ、バカナツ」


 俺を睨み付ける隼斗と穂香。俺は何も悪くないぞ? なんなんだよ!