美咲と肩を並べて歩くのは久しぶり。

 私は隼斗とナツくんがいないと一人でいることが多かったし、美咲は違う友達ができていた。


 亜理沙ちゃんたちとは決別したみたいだけど、女子の派閥は次々に仲間や敵をつくる。

 もう関わりたくないと離脱したのは私だけだ。



「美咲……あのさ、ありがとうね。私が水かけられたこと隼斗たちに話てくれたんでしょ? 隼斗から聞いたよ」


 ナツくん、は、禁句だ。なんとなく禁句だ。


「ううん、ごめんね。余計な告げ口して。私よく考えたら穂香に酷いことばかりしてる。自分のことしか考えてなかったよね……」


「そんなことないよ、皆一緒だよ」


「穂香、ナツくんと付き合ってるってほんと?」


 背中に嫌な汗がつたう。


 もう隠し事しないほうがいいのに……勇気が出ない。


 まだ美咲がナツくんを好きだったらどうしよう? 

 

「穂香、もしかして最初からナツくんが好きだったりしない?」


 言わなきゃ……ナツくん、は、禁句じゃない。最初に美咲に言わなきゃいけないことだ。