一度傷つけあってしまった傷は、なかったことにはできない。傷口は塞がっても、薄く痕が残る。
それが真実じゃなくても一度飛び出し噂を完全否定するのは難しかった。
そこにちゃんと理由があっても、他人の解釈は人それぞれだ。皆がみんな同じ解釈をしてくれるわけじゃない。
風で飛ばされても、ずっとそこに存在するトライアングルがあっても……壊れて元に戻らなくなったものもある。
亜理沙ちゃんは、私の存在なんてそこに無いように振る舞った。クラスの皆もなんとなく今まで通りじゃなくて、私は孤立している自分をよく理解していた。
だけど…………
「穂香、一緒に帰ろう」
「美咲……」
それでも、傷は塞がるのかもしれない。壊れても、壊されても、傷を塞ごうとしながら、そうやって生きていくのかも……