────遼也さんのせいで大遅刻だ。それに食いすぎで、彩さんの手料理が無駄になった。


 唇を尖らせた彩さんにキスで詫びる。


「ごめん、ナツの兄貴に捕まってさ。まじで怒らせると厄介な人でさ」


 後ろから抱きしめて、シャワー浴びたての柔らかいうなじに唇が吸い寄せられる。

 シャワー浴びて待っちゃってるとことか、彩さんの可愛いとこだ。



「また怒ってお見合いするとか言い出さないでくださいね? ま、しないと思うけど」


 わき腹をくすぐると、ぷっと吹き出した彩さん。もう一度抱き寄せる。



 俺は運が良かったんだと思う。


 こんなに可愛い人が一緒にいてくれるんだから、遼也さんが心配することなんて何もない。