────「おめでとう!」


 結婚式のライスシャワーってまじで米投げるんだな。親戚に米屋がいるから、この米は魚沼産こしひかりらしい。


「おめでとう、くそ兄貴、葵さん」


 手のひらから舞う米粒が二人の頭上から降り注ぐと兄貴が俺に抱きついた。


「くそが余計だ、弟」


 真っ白なウエディングドレス姿の葵さんが、もうやきもち妬いちゃうから、と唇を尖らせた。


「遼也さん葵さん、おめでとう」


 穂香と隼斗が声をかけると兄貴は俺から離れて、何事もなかったかのように葵さんの手をとる。

 最後にそれぞれの両親に頭を下げて、次は披露宴があるらしく参列者はぞろぞろと移動をはじめた。



「葵さん、すっごく綺麗!」


「穂香も可愛いじゃん、このワンピース似合ってるよ」


「もう隼斗は、女の子喜ばせるの上手だから騙されないもん」


「マジで言ってんだよ、信じて」



 兄貴の結婚式に、三人揃って招待されて、肩を並べて歩く。

 インターハイは惜しくも三回戦で敗れてベストエイト。

 隼斗を欠いたチームは、正直辛かった。だけど、誰も隼斗に文句なんか言わずに俺たちは潔く負けた。

 気持ちいい敗退だ。

 インターハイが終わって、バスケ部を引退したあとは皆受験受験で毎日勉強漬け。

 俺は体育大学の推薦がとれたから、後輩たちの練習に交じって遊んでることも多く、こうして隼斗と穂香と三人になるのは久しぶりだ。