「もう……いいよ……」


「よくねーだろ、学校休むほど辛かったんだろ?」

「虐めは心配すんな、もう絶対同じことはさせないから」


 私は小さく首を振った。


「ううん、違う……」


 もう満足なんだ。たったこれだけのことで、私の気持ちがスーッと軽くなっていく。

 隼斗が私の頭をくしゃくしゃと撫でてた。


「嫌いとか言うんじゃねーよ」


「そうだな、嘘でも傷つくじゃん。俺たち学校サボって穂香のこと探しに来たのにさ」



「ほんとだよね……二人ともごめん、大好き……」




 海からの強い風でナツくんが描いたトライアングルが吹き飛んだ。

 だけど、そのトライアングルは確かにここに存在していて、私もその一つの点でずっといたいよ。