「じゃ、俺たちもここにいる。な、ナツ?」


 ナツくんが黙って私の隣に座った。反対側には隼斗。


「穂香、ごめん」


「ナツずりーよ、フライングすんな。穂香、俺もごめん」


 謝らないでよ……謝らないで……


 涙が溢れて制御不能だ。腕で顔をかこって、膝におでこをつけた。葵さんが乾かしてくれた制服はコインランドリーの香りがする。


「穂香には、俺たちがついてる」


「学校でも守るし、誰にも何も言わせねーからさ。黙ってるのはやめよう。辛いことはなんでも俺かナツに話してくれ……今回は話せる雰囲気じゃなかったんだろうけど」


 ナツくんが、そうだ隼斗が悪い、と言うと隼斗は、おま……と言いかけて口ごもる。だけど今日は喧嘩はしないらしい。



「ずっと三人一緒っていうわけにもいかないけどさ、原点はここだって思えばいいんじゃね?」


 ナツくんが砂浜に不格好な三角形を描いた。


 風ですぐに吹き飛んでしまいそうな、三角形……トライアングル。


 私たちの原点?