────学校をサボったのははじめてなのに、スリルやドキドキ感が全くない。



 もうどうでもいい、って気持ちだけ。



 電車に乗ると目を閉じた。



 私の気持ちなんてナツくんには全然伝わらなくて、おまけに家に帰るとお母さんと智香がまた言い争いをしていた。


 こんな家出てやる! 叫びながらお母さんと言い争える智香を羨ましいなぁと、ぼんやり眺めていた。


「穂香はどっちの味方なのよ!」とお母さんの怒りの矛先は私にまで向けられて、「穂香は受験生なのに智香はあそんでばかりね!」と私と智香の仲まで引き裂こうとする。


 昨夜は眠れなかったから、眠くてたまらない。誰も知り合いがいないこの電車の中は、居心地が良すぎた。


 暖かいシートと適度な揺れ。

 もうどうでもいい。


 私に居場所なんてないんだ。