「そうかなぁ、でも穂香ちゃん。私の職場こうみえても女だけの職場だから、かなり低レベルな陰湿な嫌がらせとかいっぱいあってね、笑えない時もあるの。羨ましいなんて、そんなこと全然ないと思うんだ」


 そう言って、葵さんはにっこりと微笑んだ。

 余裕の笑顔、私の不幸を笑ってる、大人って汚い。こんなに辛いのに笑えない。



「でも、お客様の前だと絶対にそんなこと感じさせちゃいけない」


「……ごめんなさい、私よくわからない」


「ううん、そうだよね。こっちこそ余計なお節介しちゃったかな。でも、私は穂香ちゃんが羨ましいんだけどな……。あ、制服乾いたよ」


 葵さん借りた似合わない大人のワンピースを脱いで、乾燥機の匂いがするあつあつの制服を見つめて、葵さんみたいになりたいって強く思った。