重くて固くなったブレザーのポケットから携帯電話を取り出すと、電源が入らない。


 どうしよう……誰にも連絡とれない…………それに壊れてる。お母さんになんて言い訳したらいいんだろう。

 私が学校で虐められてること知ったら、お母さんも壊れちゃいそうだ。



「もう嫌だな…………」


 走って疲れた体で、そのまま尻餅ついて何かに寄りかかる。それがクラスから出たゴミをいれるためのボックスだと気がついて、なんだか笑えてくる。


 ここに集めたゴミは、金曜日に焼却炉で燃やすんだ。



 私はゴミと一緒か……


 隼斗と別れたら価値がない。ナツくんと近寄るために利用された程度の友情。

 もう何も信じない。


 美咲も亜理沙ちゃんも、だれも信じない。


 何を言われても、私はゴミなんだから、ただ大人しく金曜日を待てばいい。