────その次の日に、俺は無事に退院することができた。コルセットとサポーターはつけたままだけど、炎症がおさまって合併症の心配がなくなれば、食欲もあるし元気もありあまってる健康優良児だ。


 学校へは仕事に行く親父の車に便乗させてもらうことにした。

 親父は無口で会話もない車内。車を校門に横付けすると、気をつけてな、と横を向いたまま言った。


 親父に、いってきます、と言ったのは何年ぶりだろう。


「隼斗! ずりー! 車通学かよ!」とたまたま居合わせてた友達に冷やかされながら、車を見送る。

 はやめのハザードランプがついて、ゆっくりとしたハンドルさばきで親父の車が見えなくなった。


 俺って、親父に心配とかかけちゃってるのかもな……とため息つくと、自転車から降りたナツと目があった。


「に…………荷物持ってやろうか?」


 ナツがおずおずと右手を出した。



「ぶっ! はははははっ! ばっかじゃねーの! 怪我人扱いすんなよ! 荷物ぐらい自分で持てるし」


「わ、笑うな! なんだよ、俺が一世一代の優しさみせたのに!」