────泥を跳ね上げたあとがそのまま車体にくっきりと残ってる四駆の助手席に隼斗が乗り込む。


「洗車しろよ、先生」と悪態ついて頭を殴られる隼斗。


「じゃ、俺は隼斗を病院に連れて行くから、おまえら寄り道しないで真っ直ぐ家に帰れよ。解散」


 助手席の窓が開いて、隼斗が手を振った。


「あいつ、病院行くほどの怪我じゃないんじゃね?」とヤスがぼやくと、笑いが起きる。


「ま、祝勝会でもやりたいとこだけど、来週には全国大会がはじまるし、隼斗もいないし、今日は帰るか」


 話がまとまって、お疲れー、と挨拶したりハイタッチしながら散り散りになるバスケ部員。


「ナツ信じられねーよな、俺たち地区大会優勝したんだぜ? 全国だよ、全国! どうする? 取材とかくるかもよ」


 ヤスに肩を叩かれても、あまり実感がわかない。