美咲はストローをくるくると回しながら、疲れたような顔をする。


「明日の試合……私も行かないよ。亜里沙は、ナツくんとあまりうまくいってないみたい。それを隠そうと必死なんだよね……。

 私、亜里沙にすごい憧れてたの。美人だし、お金持ちだし、お洒落で、話とか面白いから。でもさ、私、本当の友達にはなれないなって気づいた」


 友達と本当の友達は違う。私たち、なんでこんな窮屈な世界で生きてるんだろう……


「でも亜里沙には逆らえないの、穂香もわかるでしょ? 私も和葉も心美も、亜里沙には逆らえない。そういう順位みたいのないのが理想ってわかってるんだけど、存在するんだよね」


「順位があるなら私……最下位かな?」


 美咲は首を傾げた。否定してくれるわけじゃない。


「今は穂香の言うことは、誰も信じてくれないかもね……でもさ、私は穂香のこと信じてないわけじゃない。亜里沙たちと一緒にいると、なんか違うって思うようになってきた。

 ごめん、本当のこと言うと私、ナツくんと仲良くなりたくて穂香と友達になった。でも一年も全然相手にされなくてさ、お祭り……セッティングしてくれて、本当に嬉しかったんだ。穂香、ありがとうね。隠してたんだけど、私、あの夏祭りでナツくんのことは諦めようって決めてたの」


 美咲は、だから今日は穂香のこと待ってた、と笑ってくれた。