うまく説明できないけど、誰かを想う気持ちをうまく説明できる人がいたとしても、それを受け止めた人にうまく伝わったかは別問題だと思う。

 ナツくんを好きだと気がついたのは、本当に偶然だし、ようするに私は二人とも好きなんだ。別々の気持ちで二人が好き。なんて、都合がいい考え方なんだろう。


 ただ美咲がナツくんのこと好きだっていうから、私はナツくんを諦めて、隼斗と付き合うしかなかったんだ……それなのに、美咲は亜里沙ちゃんがナツくんとデートしたら、あっさりとナツくんを諦めた。


 私、ナツくん諦めたから、とメールで素っ気ない文章を送ってきた。私の好きは、こんなメールで伝えられるものじゃない。


 美咲は亜里沙ちゃんたちとは違う、もっと特別な友達だと思っている。


 美咲と二人でいる時は、無理して笑うこともしなくてよかったし、何も話さないで二人で音楽を聴いてるだけでも過ごせた。


 好きな音楽、それに洋服の趣味も似ていたし、亜里沙ちゃんたちみたいに大人びた服装は美咲だって本当は好きじゃないはずなんだ。


 それなのに……美咲は、私じゃなくて亜里沙ちゃんたちを選んだんだ。


 隼斗と別れて無視されてる私に価値がない、って笑う亜里沙ちゃんたちを選んだ。