────インターハイ予選がはじまる。地区大会は、うちの学校の四倍はありそうな大きな体育館でやる。電光掲示板に高校の名前が表示されてピカピカと点滅した。


 いよいよだ…………。


 私は、階段状になってる観戦席の一番端っこで、緊張して冷たくなった手をこすり合わせた。


 ブルーのユニホームを着た隼斗とナツくんがコートに出てきた。うちの学校の人たちが、「がんばれー」と声援をおくる。


 がんばれ、隼斗、ナツくん。



 あれから、二人は険悪ムードの学校生活を過ごしてる。隼斗は私も無視している。ナツくんはいつも通りだったけど、亜里沙ちゃんのことがあって、なんとなく私から避けていた。


 冷たい指先を、そっと唇に押し当てる。


 あのキスには、深い意味なんてない…………