────次の日は、日曜日。


 日曜日だけは学校の体育館が使えないから、部活は休みだ。

 彩さんも仕事が休み。

 だから、俺は彼女をデートに誘った。デートという単語に難色をみせた彩さんだけど、水族館のチケットをみせると普通に可愛く、わぁ! 行きたい、と声をあげる。



「この水族館リニューアルしたばかりだよ。雑誌に出てたの見た」


 その反応にちょっと嬉しくなって、調子にのってすいてる電車の中でキスしようとしたら露骨に嫌な顔されて平手打ちをくらった。


「いてぇ、ナツに殴られた傷がやっと治ってきたとこなのに……」

「調子のりすぎ、高校生じゃないんだから、電車でキスとか有り得ない」



 俺は高校生なんだけどな……まあ、いいや。



 デートは順調で、日曜日だから人は多いけど、イルカのショーにアシカのショーにと彩さんに振り回されながらも、楽しめた。



「ねえ、高校生。もう一回亀がいる水槽見たい」


「はいはい、付き合いますよ……ったく大人のくせに」


 笑いながら手を繋ぐと振り払われることなく、彩さんの指が絡まる。


 この瞬間、俺は泣き出してしまいたいくらい幸せだった。



 穂香もナツも苦しめて、自分だけが幸せで満たされてた。