「自分がよくわからなくなるんです。やりたいだけなのか、本当に好きなのか…………」


「わかるよ、その気持ち」



 本当にわかってもらえなくてもいいんだ。ただこうやって誰かに静かに頷いてもらいたかった。


 コンロの火を止めた彩さんの手を引いて、思いっきり抱きしめた。細いウエストを折れちゃうんじゃないかってくらい抱きしめて、俺は安堵する。



「好きだから、やりたいのか。やりたいから、好きって言うのか…………隼斗はさ、好奇心旺盛な真面目くんなんだよね」


 彩さんの胸に顔を埋める。甘いベリーみたいなオーディオコロンの香りを楽しんで、下着を少しずらすと、あ、と小さな声をあげた。



「馬鹿にしてるんすか?」


「そう聞こえた? でも、羨ましいなぁ。好きとか付き合うとか簡単に口にできて。ねえ、高校生」