「お姉さんとこんなことする?」


 和葉ちゃんはやっぱり亜里沙ちゃんと同じ勝ち誇った顔をした。

 その手の中には、隼斗がその女の人の腰を手を回して楽しそうに耳元で何かを話ていた。



「しない……よね……」


「穂香……」


 美咲の手が膝に置かれた。あたたかい。だけど、今は一人にして欲しい。

 涙が我慢できそうもない。

 泣いたらダメだ。泣いたら友達に迷惑になる。


 我慢しよう……頑張れ、頑張れ私。



「アハハ……浮気されちゃったかなぁ……それかふられちゃったかもね……」


 震えた声を、哀れむような三つの顔。



 もう見ないでよ。


 あの夜、どうしても隼斗が受け入れられなかった。拒絶したのは自分だ。

 隼斗は一年待って、それでも私を望んでくれてたのに…………



「隼斗って、穂香と付き合う前けっこう遊んでたらしいよ。知ってた? 知ってるよね。元カノいっぱいいるじゃん。そういう男ってさ…………」


 亜里沙ちゃんの言葉がうまく理解できずに私は必死に頷いて、その場をやり過ごすことしかできなかった。