「智香に電話してみようかな? お母さんのシチュー大好きだもん」 沈黙に耐えきれずに明るい声を出す。 「何言ってるのよ! そんなことする暇があるなら、勉強しなさい! 穂香は自分のことだけ考えなさいっ!」 強く叩かれたテーブル。グラスに入った氷水がこぼれた。 「……穂香、ごめん」 「ううん……来月、模試があるから勉強頑張るね……」 「無理しないでいいからね」 どっちがお母さんの本音なのかわからなかった。