グラスに残る薄いコーラを飲む。氷が溶けて、炭酸が抜けてマズいコーラ。

 

「まあいいや。ナツらしい……あ、そういえば今夜雨降るぞ。天気予報でいってたから、そろそろ帰ろうぜ。俺、本屋も寄っていきたいし」




 ファミレスを出ると、湿気だらけの生暖かい風がふいていた。じとっとした空気がまとわりついてくる。

 隼斗は自転車にまたがると、じゃあな、と手を振った。


 隼斗は俺たちなんかより全然大人だ。

  穂香も隼斗と付き合うようになったら妙に女らしくなったけど、それは全部隼斗の影響だと思う。

 穂香は隼斗を好きになって、ますます可愛くなる。そんな穂香を、隼斗は誰にも見せないような顔をして見つめる。


 二人を遮るものは何もない。誰も邪魔できない。

 二人は付き合っているんだから……


「邪魔とか言うなよな……」


 やっぱ俺も彼女つくろうかなぁ。