2時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。
「相太?どこいくの?」
誰かに呼びとめられる予感はしていたけど
案の定康によって俺の足取りはとまった。
「ちょっと用事」
「もしかして、呼びだし~?」
「違うから」
「じゃぁ…」
話が長くなると考えた俺は
先を聞くことなく教室をでた。
階段を上ると横を通る3年生に声をかけられたり
ちらちら不思議な目でみられたり大変だったけど
やっとこの教室に着いた。
【3-A】
ドアから中をのぞいてみると体育の時に俺の事を
指さしていたあの男が先輩と話していた。
右手をギュッと握りしめる。
一瞬帰ろうかと思ったけどやっぱりできなくて。
決心する前に体は動いていた。
「失礼します」
その声と同時に何人かの人の目が俺の方を向いた。

