「行きなよ、花沢」
…えっ?
「いっていいよ」
背中を掴まれくるっと反対側を向かされた。
「ありがとう」
「木内君…」
「大好きだった」
「---っ」
「じゃあね」
ポンと背中を押され振り向くと木内君は反対側へ歩いて行ってしまった。
「…ありがとう」
ポツリとつぶやく。
木内君に届くはずもないのに。
でも言わなきゃいけない気がした。
元来た道を走る。
走って、走って…
「はあ…はあ…」
待ってくれてるはずがないいって思ってた。
けど彼は本当に待っててと行ったところにいた。
「相太君っ…」
「やっと来た」
「ううっ…ごめんね、ごめんね」
ぐいっと腕を引っ張られそっと相太君の腕の中に入った。
周りには沢山の人がいて絶対注目されているはずなのに全然嫌じゃなかった。
「泣くならはじめから無視しないで」
「うぅ…」
「好き」

