パッと美海に巻きついていた腕を離す。
「ごめん。亜季に怒られるよな」
こんなに近くにいるのに、美海に容易く触れることさえ出来ない。
あの女みたいに、キスも抱くことも…出来ない。
何で、美海の近くにいるとこんなに苦しいんだよ。
君を見るたび、胸が締め付けられるんだ。
「どっか行け…よ」
「へ…?」
いきなり態度の変わる俺に美海は動揺する。
「お前が、近くにいると…イライラしてしょうがないんだよ」
さっきよりも、強く冷たい声。
自分から、抱きついたくせに、何て都合の良い男だよ。
と、自嘲してしまう。