「待てっ……!」 ハルルの手と私の手が後少しで重なるという所で、愛しい声が耳に入る。 私は直ぐに伸ばしていた指先を引っ込める。 「海、斗…思い出せたんですか?」 「……思い出して、無い。」 少し気まづそうに、視線を地面に落とす海斗。 「でも、此だけは解る。お前は俺の大切な人。」 私は海斗の方に足を進め様とした。 「……姫乃様!」 「ハルル…放して。」 強引に私の腕を引っ張り、海の世界に連れ込もうとする。